ヘッドレスCMSとは?

APIファーストの新しいCMS

ヘッドレスCMS(Headless CMS)は、APIでWebサイトのコンテンツを配信する、新しいコンテンツ管理システムです。APIとは、ソフトウェアやアプリケーション同士をつなぎ、データや機能を共有できるようにする仕組み。このAPIを前提に設計し、システムを柔軟かつ迅速に拡張していく考え方を「APIファースト」や「API中心設計」などと言います。

APIファーストでWebサイトのバックエンド部分を提供するヘッドレスCMSが、今なぜ盛り上がっているのか。その魅力と理由を詳しくご紹介していきましょう。

ヘッドレスCMSとは? APIファーストの新しいCMS

ますます加速する技術の発展と、コンテンツ活用チャネルの多様化。ヘッドレスCMSは、これら技術と環境の進化に必要とされ誕生した、コンテンツ管理システムとも言えます。ヘッドレスCMSのメリットを3つお伝えするとともに、その理由を体感していきましょう。

1つ目のメリットは、フロントエンドで使える言語や技術の自由度です。Webサイトは、フロントエンドとバックエンドという2つの側面から成り立っています。このうちAPIファーストで、バックエンドを提供するのがヘッドレスCMSだとお伝えしました。CMSにおけるバックエンドは、記事を登録して配信する部分。フロントエンドは、Webサイトを表示する表層部分です。これらが統合された過去のコンテンツ管理システムは、モノリシックなCMSなどと呼ばれています。モノリシックなCMSでは、バックエンドとフロントエンドの結びつきが強いため、使える言語が限られています。そんな制約からの解放。それがヘッドレスCMSの大きなメリットです。特に、フロントエンドの技術の変化は、とにかくスピードが早いもの。ヘッドレスCMSであれば、最新の技術も含めて、より幅広い選択肢の中から利用する言語や技術を決めることができます。

2つ目のメリットは、コンテンツ構造の自由度です。例えば、「記事」「カテゴリ」「投稿者」「タグ」といったコンテンツモデルを、自由に作成することができます。つまり、自社サイトに最適化したコンテンツ管理画面で運営ができるのです。また、管理画面の入力フォーマットに縛られず自由にコンテンツが設計できるため、高い表現力を持ったWebサイトが完成します。

3つ目のメリットは、APIを通じて、1つのコンテンツをあらゆるプラットフォームへ配信できるようになること。現在、コンテンツの配信先は、Webサイトのみならず、ネイティブアプリやインターネットにつながったスマート製品にも拡大しています。ヘッドレスCMSなら、登録した1つのソースから各プラットフォームへの配信が可能。情報の一元化により、更新の手間も省けてミスも削減。新しい配信先を追加することも簡単です。

ヘッドレスCMSのメリット

ヘッドレスCMSをおすすめする理由

さて、ヘッドレスCMSの概要はつかめましたでしょうか。一般的なヘッドレスCMSへの理解をふまえ、ここからは私たちNewtが、なぜヘッドレスCMSをおすすめしているのか。その見解に触れながら、ヘッドレスCMSの理解をさらに深めていきましょう。

CMSが使われる、最も身近なシーンの1つがWebサイト制作です。Webサイト制作の現場に、ヘッドレスCMSの導入をおすすめする最大の理由。それは、Webサイト制作における、技術トレンドや進化に対する支援の可能性です。

2000年代後半から始まった、Web技術のJavaScriptシフト。React、Vue、Angularなどを用いたコンポーネント指向開発というブレークスルー。そして、2010年代後半にはNext.js、Gatsby.js、Nuxt.jsという静的サイトジェネレータの登場といった技術の変化が訪れています。繰り返しとなりますが、フロントエンドとバックエンドが切り離されたヘッドレスCMSであれば、前述のように制約なくこのような新たな技術にチャレンジできます。

また、ヘッドレスCMSを採用することで、チームのコラボレーションワークに必要なGitHubなどの開発ツールや、Vercelをはじめとしたホスティングサービスとも連携できるようになります。技術を柔軟に取り入れられる環境を整えることで表現力が高まり、快適なコラボレーションによってWeb制作の現場がよりパワフルに、より楽しくなる。私たちはそう考え、ヘッドレスCMSの導入をおすすめしています。つまりヘッドレスCMSは、最新の技術をWeb制作に取り入れるための、きっかけともなる1つのツールなのです。

最新のルールや技術

ヘッドレスCMSでワークフローが変わる

ヘッドレスCMSをおすすめするもう1つの理由は、共同作業のアップデートです。一般的なWeb制作では、デザイナー、エンジニア、コンテンツ編集者をはじめとした複数の専門家が集まり、プロジェクトのキックオフが行われます。

変化を実感するために、モノリシックなCMSを使用した小規模なWeb制作のワークフローを、コンテンツ管理の視点で振り返りましょう。まず、要件定義、情報設計、デザイン、コーディングといった開発工程が進みます。その後CMSのカスタマイズが行われますが、小規模な案件ではエンジニアのローカル環境で開発が進むことも多いでしょう。そのためコンテンツ編集者は、開発工程がある程度進んでから、管理画面にコンテンツを登録できるようになります。

ヘッドレスCMSを導入すると、まず行われるのは、コンテンツモデルの決定です。ページの要素であるコンテンツモデルを編集者含めたチーム全員が、CMS上で設計できるようになります。先にコンテンツモデルを取り決めることで、コンテンツ編集者、デザイナー、エンジニアなどチームの作業が並行して進められるようになるのです。つまり、プロジェクトはアジャイルに進行していくことになります。もちろん、アジャイルなプロジェクトがすべての正解ではありませんし、既存のモノリシックなCMSでも実行は可能です。ただ、一つの企業が、複数のWebサイトを複数のチームで運営することも珍しくない時代。コラボレーションワークをより効率化していくことは、品質の高いWebサイトを完成するにあたり重要なポイントです。

プロジェクトをアジャイルに進行

共同作業のメリットをもっと詳しく

ヘッドレスCMSを使いながら、アジャイルに進行するプロジェクトの細かなメリットを探っていきましょう。例えば、コンテンツの文字数や文章構造は、デザイナーとしても重要な要素。アジャイルに進める場合は、コンテンツ編集者とデザイナーの間ですり合わせの作業ができます。いずれかが完全な決定権を持つのではなく、品質を高めることを目的としたチームワークを発揮できるのです。

また、コンテンツ編集者が制作した画像や原稿は、チームメンバーが見られる環境に最新の状態で置かれます。エンジニアは、そのコンテンツデータを利用しながら、例えば文字数の制約を入れておくといった細かなテストが行えます。

バックエンドエンジニアはCMS用のサーバの保守、管理をする必要がなくなります。コンテンツ登録画面の作成も不要となるため、開発に集中することができます。ヘッドレスCMSは外部サービスや自社システムともAPI連携できますし、メール配信などWebサイトを持たないデータ管理にも使えます。

コンテンツ編集者、デザイナー、エンジニア。各自が最大のパフォーマンスを発揮しながら、質の高い制作を進めていけるのです。

ヘッドレスCMSのデメリット

ここで、現時点におけるヘッドレスCMSのデメリットも確認しておきましょう。一言で伝えるならば、「エンジニア中心のツール」であり、導入にはエンジニアが必要だということです。

ヘッドレスCMSを導入する場合、開発チームにはAPIを利用したフロントエンド開発の知識を持ったフロントエンドエンジニアが必要です。ただ、例えばWordPressを導入して本格的にカスタマイズするWebサイト制作には、その知識を持ったエンジニアが必要なことに代わりはありません。今後、ヘッドレスCMSやAPIの共通知識を持ったメンバーが増えていくことで状況は変化していくでしょう。

盛り上がりを見せているヘッドレスCMSという分野。Newtとしても、ヘッドレスCMSはエンジニア以外のユーザーにとって、まだ易しいツールではないという認識です。エンジニアにとっても、ヘッドレスCMSのハードルを下げる取り組みや、サービスの進化をさせていく必要があると考えています。現在のNewtには、コードを書くことなくサイトが公開できる「Appテンプレート」も用意しています。これからも、より多くの人に使ってもらえるためのアップデートを続けていく予定です。

それでもヘッドレスCMSを選ぶ理由

ヘッドレスCMS導入のハードルについて、ご説明しました。例えば、WordPressのテンプレートをノーコード的な文脈で活用している場合や、小規模な案件を1人でコストを抑え担当している人。そのようなシーンでは、敢えてヘッドレスCMSをおすすめすることはありません。では、ハードルを越えてでも、ヘッドレスCMSを選ぶのは、なぜでしょうか。

WordPressなど既存のCMSには、前述したように技術の選択における制約があります。その制約を取り払うことで、表現力が高まり、より良いユーザー体験が作り出せる。それが、ヘッドレスCMSが導く新たな時代の体験価値だからです。

技術やツールの選択は、品質と制作物の価値に直接的な影響を与えます。時代に合った新しい技術やツールを取り入れていく中で生まれるのが、Jamstackのような新しいアイディアです。

新しい技術を学んでいくことは、楽しいこと。新しいアイディアを共有しあうことは、もっと楽しいこと。ヘッドレスCMSの採用は、より良い制作物をより良いチームワークで生み出すための入り口にすぎません。将来性を感じる技術で、ワクワクしながらものづくりをしてほしいと、私たちは考えています。

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